地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
論説
緑色普通角閃石中のガラス包有物の主成分化学組成を用いた広域テフラの対比:
阪手テフラを例として
中村 千怜安江 健一石丸 恒存梅田 浩司古澤 明
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 117 巻 9 号 p. 495-507

詳細
抄録
近畿~中部地方の阪手テフラは,K-AhとAT層準の間の堆積物中に緑色普通角閃石・カミングトン閃石が含まれるという特徴で識別されてきた.阪手テフラと同定されたテフラ,およびその給源と目される三瓶浮布テフラについて岩石記載および火山ガラスの主成分組成分析を行った結果,それぞれが対比できた.火山ガラスが残存しない阪手テフラの場合,緑色普通角閃石の屈折率などで対比しているが,テフラの特徴を明瞭に示すとされる火山ガラスに代わって,阪手テフラに特徴的に含まれる斑晶のガラス包有物の主成分組成で同定できれば,識別精度が向上する.そこで,前出テフラに含まれる緑色普通角閃石中のガラス包有物の主成分組成を分析したところ,組成の特徴がよく一致した.よって,阪手テフラの同定については,緑色普通角閃石中のガラス包有物の組成の比較が有効であることが明らかになった.
著者関連情報
© 2011 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top