地質学雑誌
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論説
日立地域の鮮新統基底礫岩の礫から産出したペルム紀腕足類とその構造地質学的意義
田沢 純一菊池 芳文二階堂 章信安達 修子奥村 よほ子
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2014 年 120 巻 11 号 p. 377-391

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抄録

本研究では,日立地域の鮮新統基底礫岩の礫から産出したペルム紀腕足類フォーナ(石名坂フォーナ,新称)を記載し,その時代と古生物地理について論じる.腕足類化石を含む巨礫は,日立古生層の鮎川層に由来すると考えられる.したがって,石名坂フォーナの時代と古生物地理の検討は,鮎川層の時代と堆積場の検討に結びつく.石名坂フォーナは16属17種の腕足類からなり,時代的にはペルム紀中期(Wordian)を示し,種構成において南部北上帯の同時代の腕足類フォーナに類似する.古生物地理学的には,石名坂フォーナはボレアル型-テチス型混合フォーナで,シノモンゴル-日本区に属する.以上のことから,日立地域は中期ペルム紀には北中国東縁の大陸棚の一部をなしていたと推定される.また,日立古生層のうちとくにペルム系鮎川層と下位の石炭系大雄院層は,南部北上帯古生層の南方延長部であると考えられる.

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© 2014 日本地質学会
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