地質学雑誌
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論説
三浦半島北部の上総層群中部(下部更新統)で掘削されたコアの堆積相とオルドバイ正磁極亜帯の上限
楠 稚枝野崎 篤岡田 誠和田 秀樹間嶋 隆一
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2014 年 120 巻 2 号 p. 53-70

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抄録

横浜市南部で掘削された全長105.0 mのコアでオルドバイ正磁極亜帯上限境界を確認した.コアは前弧海盆堆積物の上総層群大船層最下部(0.8~6.0 m,塊状泥岩層)と野島層上部(6.0~105.0 m)からなる.YH02とSg3凝灰岩層は26.83~27.03 mと8.58~9.72 mに確認でき,房総半島上総層群のKd39とKd38凝灰岩層にそれぞれ対比される.野島層は岩相,堆積様式,磁気特性から,層準A(73.2~105.0 m,塊状泥岩層,砂質泥岩層),層準B(38.5~73.2 m,塊状泥岩層から砂岩層に上方粗粒化),層準C(6.0~38.5 m,砂岩層から塊状泥岩層に上方細粒化)に区分される.層準Bは地層の傾斜の大きな変化および帯磁率異方性と古地磁気伏角から海底地すべり堆積物と推定した.古地磁気伏角から,オルドバイ上限の地磁気の逆転は84.64~86.77 mの層準で起き,浮遊性有孔虫化石G. inflataの酸素安定同位体比による2通りの年代モデルから,2800年間あるいは3200年間と計算した.

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© 2014 日本地質学会
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