地質学雑誌
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120 巻, 2 号
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論説
  • 土谷 信高, 武田 朋代, 谷 健一郎, 足立 達朗, 中野 伸彦, 小山内 康人, 木村 純一
    2014 年 120 巻 2 号 p. 37-51
    発行日: 2014/02/15
    公開日: 2014/06/24
    ジャーナル フリー
    電子付録
    「割山圧砕花崗閃緑岩」は,阿武隅山地東縁の双葉断層に沿い,その東側に南北に細長く分布する岩体である.全岩化学組成の特徴から典型的なアダカイトと判断されるが,中粒でよりK2O,Srに乏しい系列と,粗粒でそれらに富む系列に2分される.前者から308 ± 3,302 ± 4 Maの,また後者から118 ± 2,117 ± 1 MaのジルコンU–Pb年代が得られた.このことから,後期石炭紀のものを従来にならい割山花崗岩体,前期白亜紀のものをあらたに高瀬花崗岩体と命名した.300 Ma頃の年代を示す花崗岩は,これまで日本列島からほとんど見つかっていなかった.今回の発見により,これまでペルム紀(約280 Ma)とされてきた日本列島の後期古生代花崗岩の形成開始年代は,後期石炭紀の300 Maまで遡ることになる.またその花崗岩がアダカイト質花崗岩であることから,300 Ma頃に始まる花崗岩形成は,海嶺沈み込みあるいは若いプレートの沈み込みで始まった可能性が指摘できる.
  • 楠 稚枝, 野崎 篤, 岡田 誠, 和田 秀樹, 間嶋 隆一
    2014 年 120 巻 2 号 p. 53-70
    発行日: 2014/02/15
    公開日: 2014/06/24
    ジャーナル フリー
    横浜市南部で掘削された全長105.0 mのコアでオルドバイ正磁極亜帯上限境界を確認した.コアは前弧海盆堆積物の上総層群大船層最下部(0.8~6.0 m,塊状泥岩層)と野島層上部(6.0~105.0 m)からなる.YH02とSg3凝灰岩層は26.83~27.03 mと8.58~9.72 mに確認でき,房総半島上総層群のKd39とKd38凝灰岩層にそれぞれ対比される.野島層は岩相,堆積様式,磁気特性から,層準A(73.2~105.0 m,塊状泥岩層,砂質泥岩層),層準B(38.5~73.2 m,塊状泥岩層から砂岩層に上方粗粒化),層準C(6.0~38.5 m,砂岩層から塊状泥岩層に上方細粒化)に区分される.層準Bは地層の傾斜の大きな変化および帯磁率異方性と古地磁気伏角から海底地すべり堆積物と推定した.古地磁気伏角から,オルドバイ上限の地磁気の逆転は84.64~86.77 mの層準で起き,浮遊性有孔虫化石G. inflataの酸素安定同位体比による2通りの年代モデルから,2800年間あるいは3200年間と計算した.
  • 後藤 隆嗣, 那須野 伸治, 入月 俊明, 大平 寛人, 林 広樹
    2014 年 120 巻 2 号 p. 71-86
    発行日: 2014/02/15
    公開日: 2014/06/24
    ジャーナル フリー
    富山県富山市八尾町には鮮新統三田層が分布する.この地層は3層の凝灰岩層(OT3,MT1,MT2)を含み,OT3とMT2凝灰岩層の年代は5.2 ± 0.5 Maおよび2.2~2.3 Maと見積もられている.今回,八尾町平林周辺の赤江川流域に分布する,MT1凝灰岩層に対してフィッショントラック法に基づく年代値の推定と,この層準付近から産出する貝形虫と浮遊性有孔虫化石の群集解析を行い,古環境を推定した.その結果,赤江川本流と支流で,3.5 ± 0.2 Maおよび3.4 ± 0.2 Maという年代値が見積もられ,研究結果を統合すると,三田層における暖流系貝化石の初産出層準は3.66~約3.4 Maの範囲にあることが明らかとなった.また,微化石の群集解析から,調査層準下部から上部に向けて,冷温な湾域から温帯性の開放的な浅海域への変遷が認められた.最上部では強い暖流を示す貝形虫化石群集が産出した.
口絵
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