地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
論説
阿武隈山地東縁の石炭紀および白亜紀アダカイト質花崗岩類とその地質学的意義
土谷 信高武田 朋代谷 健一郎足立 達朗中野 伸彦小山内 康人木村 純一
著者情報
ジャーナル フリー
電子付録

2014 年 120 巻 2 号 p. 37-51

詳細
抄録

「割山圧砕花崗閃緑岩」は,阿武隅山地東縁の双葉断層に沿い,その東側に南北に細長く分布する岩体である.全岩化学組成の特徴から典型的なアダカイトと判断されるが,中粒でよりK2O,Srに乏しい系列と,粗粒でそれらに富む系列に2分される.前者から308 ± 3,302 ± 4 Maの,また後者から118 ± 2,117 ± 1 MaのジルコンU–Pb年代が得られた.このことから,後期石炭紀のものを従来にならい割山花崗岩体,前期白亜紀のものをあらたに高瀬花崗岩体と命名した.300 Ma頃の年代を示す花崗岩は,これまで日本列島からほとんど見つかっていなかった.今回の発見により,これまでペルム紀(約280 Ma)とされてきた日本列島の後期古生代花崗岩の形成開始年代は,後期石炭紀の300 Maまで遡ることになる.またその花崗岩がアダカイト質花崗岩であることから,300 Ma頃に始まる花崗岩形成は,海嶺沈み込みあるいは若いプレートの沈み込みで始まった可能性が指摘できる.

著者関連情報
© 2014 日本地質学会
次の記事
feedback
Top