2016 年 122 巻 11 号 p. 603-615
庵治花崗岩の三軸圧縮試験を封圧10-40MPa,間隙水圧10-30MPa,ひずみ速度5.0×10-6 s-1の条件下で行い,ひずみゲージで測定した変形中のひずみを解析した.最大軸差応力およびダイラタンシー開始応力は有効圧の上昇に伴い増加し,水の存在下ではやや減少する傾向が確認された.ヤング率は有効圧の上昇とともに若干増加し,水の存在下ではやや低い値を示すが,ポアソン比には有効圧や水による変化はみられなかった.試料中のマイクロクラックに起因するダイラタンシーは,乾燥状態の試験では封圧が低いほど促進されるが,間隙水圧下の試験では有効圧が低いほど抑制される傾向が確認された.この傾向は,間隙水が試料内部の応力集中を緩和させる働きがある可能性を示している.また,いずれの間隙水圧下の試験でも,最大軸差応力の約96%の応力を越えると試料への注入水体積が急増する傾向が確認され,このしきい値を境に試料内の空隙の連結が促進されることが示唆された.