2019 年 125 巻 7 号 p. 483-516
八尾地域の岩稲層から三田層にわたる地層から採取したジルコンについて,U-Pb法およびフィッション・トラック法による年代測定を行い,凝灰岩の火山灰分析および音川層の珪藻化石分析と合わせて各地層の堆積年代を決定し,新生界年代層序の再検討を行った結果,従来の報告より多くの不整合を挟むことが明らかになった.最下位楡原層の堆積相解析,砕屑性ジルコンの年代測定を行った結果,楡原層は上位岩稲層と不整合の関係にあり,前期リフト堆積盆の可能性があること,海域または湖水域に堆積した臨海/臨湖扇状地の堆積環境の下で多くの堆積サイクルが形成されたこと,砂岩の主要な供給源は南方の濃飛流紋岩と推定されることが判明した.北陸地方の周辺陸域層序および富山トラフの層序と広域対比した結果,リフト期およびポストリフト期のそれぞれについて,従来の推定より多段階のテクトニクスの変遷を経たことが明らかになった.