2019 年 125 巻 7 号 p. 517-525
富山トラフ周辺では,1993年能登半島沖地震や2007年新潟県中越沖地震のようなM6クラスの被害地震が発生しており,ひずみ集中帯とよばれる変動帯が横切っている領域に位置する.2007年と2009年に,富山トラフ周辺でマルチチャンネル反射法地震探査や海底地震計を用いた地殻構造探査を実施した.その結果,富山トラフの北部と南部では地殻構造に違いがあることがわかった.地殻の厚さは主に上部地殻において北部の方が南部より薄くなり,北部では地殻内やモホ面が明瞭にイメージングされる.一方,背斜や逆断層の形成はトラフ縁辺部を除くと,南東部に多く発達している.これらの短縮変形構造が発達している近辺では,相対的に地震活動も活発である.