岐阜県西部,舟伏山地域の美濃帯ジュラ紀メランジュにはペルム系海洋性岩石を主とする孤立岩体(舟伏山岩体)が分布する.岩体は舟伏山層,天の河原層,初鹿谷層の3つの層序ユニットからなる.これらは海洋島起源の玄武岩に伴い,互いに同時異相関係にある.舟伏山層は下部より高有機質・暗灰色の層状石灰岩,塊状・無層理の灰白色石灰岩,塊状・無層理の灰〜暗灰色石灰岩からなる.石灰岩の大半は生砕性で,多くは海山頂部の静穏なラグーン内の潮下帯上部で堆積した.天の河原層は玄武岩質火山砕屑岩と石灰岩角礫岩からなり,海山上部斜面での崖錐堆積物である.初鹿谷層はチャートと砕屑性ドロマイトで特徴づけられ,海山の山麓から周囲の大洋底を覆った深海相である.砕屑性ドロマイトは浅海域から深海のチャートの堆積場に流入した重力流堆積物である.舟伏山層は上部シスウラリアン統〜上部グアダルピアン統,天の河原層は上部シスウラリアン統,初鹿谷層は上部シスウラリアン統〜上部三畳系に対比される.