2020 年 126 巻 8 号 p. 433-442
法地質学に要求される技術やアプローチの仕方は国によって異なるものがあるが,21世紀に入ってからのこの分野での発展は目覚ましいものがある.本総説は今世紀における国際的な法地質学の発展について,証拠物としての土を中心にまとめたものである.すでに英文では書籍や学術誌にレビューがいくつも出されているが,日本の地質学関係者には馴染みのないものが多い.この総説は法地質学という学問分野の国際的な状況の紹介を目的として,すでに出版されている総説を参考としながら,新しい情報を追加したものである.国際的なネットワークと学術集会,最近の論文および書籍の出版状況,英国を中心とした教育および実践体制,世界各国の状況の概要ならびに注目される研究分野の現状を列挙し,いくつかの事例を紹介した.