地質学雑誌
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総説
日本の法地質学の歩み
組坂 健人杉田 律子
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2020 年 126 巻 8 号 p. 425-431

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抄録

本稿では,日本国内の法科学分野における地質学的試料の検査法の発展についてレビューした.日本の犯罪捜査において,土砂は人物や道具,場所等を関連付けるための証拠として重要視されており,主に異同識別が実施されている.1950年に,土砂の鑑定件数が増加したことを受けて,体系的な検査法の必要性が認識された.その際,重液法や粒度分布,顕微鏡検査,化学分析等が検討された.その後,土砂の有機物の分解,砂やシルト以下の画分への分画,脱鉄処理といった前処理法が用いられるようになった.1990年代には,X線回折や走査型電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分析装置などの機器分析を含む体系的な検査法が確立された.近年では,大学等において法地質学への関心が高まっている.今後は,警察等の研究機関および大学等におけるより活発な連携が期待される.

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© 2020 日本地質学会
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