地質学雑誌
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論説
四国北西部,中新統久万層群明神層に含まれる火成岩礫の起源
相田 和之 下岡 和也谷 健一郎楠橋 直齊藤 哲
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2021 年 127 巻 9 号 p. 563-574

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抄録

四国北西部に分布する下部-中部中新統久万層群明神層は花崗岩類や半深成岩類を礫として含む.これらの礫は主に久万層群の南向きの古流向に基づき,領家帯・山陽帯の火成岩類に由来すると考えられている.したがって,久万層群は現在その大部分が外帯に分布しているものの,明神層は当時の内帯側に関する情報をもっている.これらの火成岩礫の起源を明らかにするため,礫に関する岩石学的記載とLA-ICP-MSによるジルコンU-Pb年代測定をおこなった.花崗岩類礫,半深成岩類礫からそれぞれ得られた99-95 Ma,約90 Maという年代値は,領家(および山陽)花崗岩類,特に高縄半島や柳井地域から報告されている年代と調和的である.また,火成岩礫の岩石学的特徴も領家(および山陽)火成岩類によく見られるものである.したがって,従来の見解通り,明神層中の火成岩礫は主に領家帯の火成岩類に由来すると考えられる.

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© 2021 日本地質学会
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