地質学雑誌
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論説
西南日本の山陰バソリスに分布する高田花崗閃緑岩の地質学的位置づけ
中山 瀬那 亀井 淳志谷 健一郎岩田 智加薬師寺 亜衣松場 康二
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2024 年 130 巻 1 号 p. 297-311

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抄録

本研究では西南日本の山陰バソリスに産するメタアルミナス組成の高田花崗閃緑岩の地質学的位置づけを明確にした.この岩体は小木石英閃緑岩という細粒石英閃緑岩との混成を経験している.高田花崗閃緑岩は中~粗粒普通角閃石黒雲母トーナル岩~花崗閃緑岩,中~粗粒普通角閃石含有黒雲母花崗閃緑岩,および粗粒斑状黒雲母花崗岩で構成される.

この岩体の全岩化学組成は組成変化図上でブロードなトレンドを成し,ジルコンのU–Pb年代は約65~60 Maの幅広いばらつきを持つ.これらは岩体が複数のマグマ活動により形成したことを示す.マグマ活動のピークは61 Ma頃で山陰火成活動の因美新期にあたり,周辺花崗岩体よりも早くに活動している.したがって高田花崗閃緑岩は山陰バソリスの主要形成期における最初の活動として重要である.

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© 日本地質学会
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