地質学雑誌
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西南日本, 紀伊半島東部, 中央構造線沿いの花崗岩質カタクレーサイトに伴って産するシュードタキライト脈
島田 耕史小針 雄一郎岡本 隆之高木 秀雄坂 幸恭
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2001 年 107 巻 2 号 p. 117-128

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抄録

中央構造線沿いのマイロナイト化した領家花崗岩類から, 新たに断層生成型シュードタキライトが発見された.本シュードタキライトはマイクロライトや杏仁状組織の存在に基づき, メルト起源である.メルト生成過程は, 低い融解温度を持つ鉱物の選択融解によるものと考えられる.シュードタキライト中の岩片として, 角閃石, 黒雲母が存在しないことと, SiO2含有量の母岩に対する系統的な減少は, この解釈を支持する.本シュードタキライトは, マイロナイト化の後に形成され, その後にMTLの活動に由来するカタクレーサイト化を受けている.MTL, シュードタキライトの断層脈, マイロナイト面構造の類似した姿勢は, 一連の断層岩類の形成が, 1つの造構応力場のもとで進行したことを示している.本シュードタキライトは, 摩擦融解過程を伴った過去の高速断層運動の一例であり, 中央構造線の地震性断層運動を示している.

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