抄録
マリ共和国バオレ・バニフィング地域(Fig.1)のドレライトは, 原生代前期の泥質・砂質片岩を貫く中生代前期の岩脈や岩株として産し, Kに富む大陸性ソレアイトの特徴を示す. 本岩は長径約1mmの自形斜長石が単斜輝石や斜方輝石に食い込むサブオフィチック組織を呈し(Fig.2), 大きな斜方輝石のリムには転移ビジョン輝石が見られる(Figs.3,4). そして残液が固結した部分には石英とカリ長石の文象組織が発達する(Fig. 5). 他にチタン磁鉄鉱, 普通角閃石, 黒雲母を含む. このような岩石は日本の第四紀火山岩には稀だが, 能登半島には斜長石にカリ長石のリムが発達するピジョン輝石含有玄武岩があり(López and Ishiwatari, 2002), 斑晶が石英とカリ長石で斜長石を欠き全岩Zrに富む北陸の月長石流紋岩(石田ほか,1998 ; 石渡, 2000)などとともに日本海側の中新世マグマ活動の大陸的性格を示す. なお, 本試料は金属鉱業事業団の平成13年度資源開発協力基礎調査において採集されたものである.