地質学雑誌
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手取層群の動植物化石の生層序と陸域古生態系の進化的意義
松川 正樹小荒井 千人大久保 敦伊藤 慎
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2003 年 109 巻 8 号 p. 466-477

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抄録

手取層群の主要分布域では統一した地層区分により層序が編まれ,各層の分布が地質図に表された,この統一された地層区分に基づいてこれまで報告されてきた動植物化石の産出層準を整理し,従来の動植物化石群の層序的位置づけを示し,それらの構成種の示準性や示相性を評価した.陸上脊椎動物化石や淡水生二枚貝化石の産地のほとんどは,桑島層か大黒谷層に属することが示された.桑島層は氾濫源ないしは湖の堆積相であり,それらの動物化石群の出現は環境に支配されていると解釈できる.また,植物化石が多産する産地も桑島層の分布域に相当する.桑島層には,ジュラ紀に繁栄した古い時代の型の動物に比べて白亜紀後期に繁栄した新しい時代の型の動物の方が多い.新しい型の動物は環境変化が頻繁に起こる大陸縁辺部でも適応したと解釈される.

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