抄録
高齢者の医療において,認知症あるいは認知機能低下をどうマネジメントするかということは大きな課題である.今後,ますます高齢化が進み,認知症患者が増加する趨勢のなかでは認知症発症や認知機能低下のリスクとなる要因を少しでも減らすことは,高齢者のQOLを維持したり,高齢者医療·介護のコスト増大を防ぐために重要なことである.高血圧は従来,脳血管性イベントあるいは脳血管性認知症の危険因子として知られていたが,近年,中高年期の高血圧がその後の認知機能低下やアルツハイマー型認知症発症にも関連するという報告が行われ,また,降圧剤治療によってアルツハイマー型認知症の発症リスクを減らすことができる可能性も示唆され注目を浴びている.この問題は,アルツハイマー型認知症に脳血管因子がどのように関わっているかという議論とも関係している.アルツハイマー型認知症におけるMRI上の脳白質変化の意義も含めて,高血圧·高血圧治療と認知症·認知機能の関係を論じたい.