抄録
加齢と高血圧の相互作用により左室肥大や大動脈スティフネス増大などの心血管リモデリングが生じるが,これらは心血管死の危険要因となる.高齢者高血圧患者の心エコー法により求めた左室重量係数と脈波速度を,血中BNPと24時間血圧を用いて解析し,加齢と性差の影響を調べた.左室重量係数,脈波速度はともに夜間血圧と正相関し,夜間血圧は血中BNPと正相関したことからBNPが臓器障害の指標となりうる可能性が示唆された.加齢による左室肥大の進行は女性でより著しかった.女性は加齢でnon-dipperは増加しないが,閉経後収縮期血圧が急速に上昇し男性よりも24時間血圧が高くなるという報告があり,24時間血圧値と夜間血圧値の上昇で,加齢による肥大の進行が説明できる.脈波速度は男女とも加齢で増加したが,左室重量係数とは相関しなかった.以上より,心臓と血管のリモデリングの進行はともに夜間血圧と関係するものの,両者は比較的独立しており,高齢女性で進行する左室肥大により心血管死の増加を説明できる可能性がある.