2020 年 29 巻 1 号 p. 154-157
脊柱側弯症は脊椎の側屈および回旋によって引き起こされる脊柱の変形であり,まれに気管支閉塞による無気肺を生じる場合がある.外科的治療によって圧迫が解消され,無気肺が改善した症例はいくつか報告されている.一方,保存的治療によって改善された報告はない.本症例では,右中間気管支の閉塞により生じた無気肺の改善を目的に,胸郭可動域練習や呼吸練習等の呼吸リハビリテーションを実施した.呼吸リハビリテーションを実施する際,脊柱側弯症患者に対して広く用いられているシュロス法を参考に肢位を工夫した.その結果,無気肺の改善,呼吸困難感や疼痛等の自覚症状の軽減が認められた.特発性脊柱側弯症に伴う無気肺に対して,呼吸リハビリテーションに脊柱側弯症による運動機能制限に対するアプローチを併用することが有用であると示唆された.