抄録
目的:高齢者の非結核性抗酸菌症(Nontuberculous mycobacteriosis,NTM症)の特徴を知る目的で臨床像の検討を行った.方法:対象は65歳から92歳の非結核性抗酸菌症の10例で,臨床所見,画像所見,細菌学的検査などについて検討した.結果:自覚症状としては,呼吸器症状がみられたのは2例で,微熱,倦怠感,食欲不振などの非特異的症状が多くみられた.呼吸器疾患の既往を有する症例は4例で,6例においては痴呆を合併していた.画像所見では,多発する小結節影がすべての症例でみられ,気管支拡張所見を伴う例を1例認めた.細菌学的検査では10例中,8例は喀痰で,2例は気管支鏡洗浄液にて診断基準を満たしていた.これら10例中,6例においては入院時,喀痰と同時に胃液検査が施行されており,6例中5例が抗酸菌陽性を示し,喀痰と比し入院初回時の菌の検出率は高かった.今回の10例はすべてMycobacterium avium intracellulare complex(MAC)であった.結論:高齢者においては喀痰を無意識に嚥下している可能性も高く,胃液でのNTMの検出が高かったと考えられた.