抄録
目的:75歳以上の高齢者糖尿病患者における糖尿病合併症の発症リスクについて検討した.方法:対象は75歳以上の高齢者糖尿病117例で糖尿病合併症は網膜症,腎症,脳・心血管障害(CVD)について検討した.糖尿病合併症は発症時より前の5年間におけるすべてのHbA1c(JDS値)の平均値(HbA1c)を合併症のない群のHbA1cと比較した.結果:網膜症(+)群のHbA1cは7.9±1.2%と網膜症(-)群の6.8±0.7%より高値で(p<0.01),腎症(+)群のHbA1cは7.3±1.1%と腎症(-)群の6.7±0.7%より高く(p<0.01),CVD(+)群のHbA1cは7.7±1.3%とCVD(-)群の7.0±0.9%より高値を示した(p<0.05).多因子を補正した網膜症,腎症,CVDの発症リスクはHbA1cが7.5%以上の群でハイリスクであった.HbA1cが7.0%以上群にくらべ7.0%未満群では糖尿病合併症の発症リスクが明らかに低下していた.結論:高齢者糖尿病患者の糖尿病合併症はHbA1cが7.5%以上で高くなり,7.0%未満で合併症予防になると考えられた.