日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
症例報告
Ramelteonにより幻視が消失したレビー小体型認知症の2症例
藤城 弘樹
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2012 年 49 巻 5 号 p. 622-626

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抄録

レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)は,高齢期に発症する頻度の高い変性性認知症であり,幻視を高頻度に伴うことが特徴である.しかし,DLBの幻視発現に関しては,その生物学的機序は明らかとなっておらず,その薬物療法は確立されていない.今回,幻視を主訴とするDLB患者に対して,Ramelteonの投与が有効であった2症例を経験した.症例1は72歳女性.71歳ごろから物忘れと歩行障害が出現し,近医を受診し,アルツハイマー病と診断され,Donepezil 5 mg/日の投与が開始された.翌年幻覚妄想が出現し,専門医に紹介受診となり,初診時Mini-Mental State Examination(MMSE)25点であった.症例2は81歳男性.78歳から亡くなった妻が夢に出てくると訴え,80歳ごろより物忘れが出現した.81歳時に「死んだ妻が立っている」「顔のない二人の女のヒトが家の中を行き来している」と幻視の訴えが出現したため受診に至り,MMSE20点であった.Donepezilを投与開始したが,副作用のため継続困難となった.両症例ともに独居であり,夜中に幻視内容について家族に電話することが,介護負担と関係していると考えられ,不眠に対してRamelteonの投与を行った.いずれの症例も投与開始約8週後に幻視が消失した.Ramelteonは,選択的メラトニンMT1/MT2受容体アゴニストであり,複数の無作為試験においてきわめて高い安全性が示されており,独居で見守りが出来ない環境において,比較的投与しやすい薬剤と考えられた.また,メラトニンはレム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder:RBD)に対するClonazepamに次ぐ第二選択薬とされているため,DLBに高頻度に認められるRBDと幻視の発現の関係について考察を行った.

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© 2012 一般社団法人 日本老年医学会
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