抄録
Or(2001)が指摘したように,テンシオメータの原型は Livingstone の開発した自動潅水装置であったが,Buckingham の毛管張力に基づく不飽和流れに関する運動理論をもとに「毛管力による土壌中の水移動」や「毛管ポテンシャルとその土壌水分係数との関係」などの研究に取り組んできた Willard Gardner によって土壌物理学の中で不飽和流れに関する運動理論を研究する際の有用な測定装置としてテンシオメータを位置付けられたことを Gardner et al. (1922)をもとに紹介した.その後,圃場におけるマトッリクポテンシャルの測定装置としてテンシオメータの改良が進み,フィールド科学としての土壌物理学が発展していく礎となった.