日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
症例報告
心原性脳塞栓症の発症を契機に診断された自己免疫性溶血性貧血の1例
木村 俊介大﨑 正登坂井 翔建大屋 祐一郎吾郷 哲朗北園 孝成荒川 修治
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2019 年 56 巻 3 号 p. 331-335

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抄録

症例は79歳女性.9年前に非弁膜症性心房細動に対して抗凝固療法を開始し,近年はアピキサバン常用量(5 mg,1日2回)を内服していた.服薬アドヒアランスは良好であった.X年11月某日,構音障害が突発したため来院した.軽度の右中枢性顔面神経麻痺を呈し,頭部MRIでは左前頭葉に新鮮梗塞を認めた.MRAで脳主幹動脈に狭窄性病変は認められず,非弁膜症性心房細動を有することから心原性脳塞栓症と診断した.ヘパリンとエダラボンの投与を開始し増悪や再発なく経過したが黄疸が出現し貧血が進行した.直接クームス試験が陽性で寒冷凝集素価も上昇していたことから混合型自己免疫性溶血性貧血と診断した.第12病日にヘモグロビンが7.0 g/dlまで低下したが,ステロイド治療により貧血の進行は停止した.本症例では半年前から軽度の貧血(ヘモグロビン:9.2~10.9 g/dl)と高ビリルビン血症(総ビリルビン:1.8~2.6 mg/dl)が出現していたことが判明した.潜在していた自己免疫性溶血性貧血が血栓形成の助長因子となり,心原性脳塞栓症発症を契機に顕在化した可能性のある興味深い症例と考えられた.

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© 2019 一般社団法人 日本老年医学会
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