抄録
エネルギー分散型けい光X線分析装置を用いて、エーロゾル中の多元素同時分析を行った。フィルターの一部を酸分解後、原子吸光分析によって金属含量を定量し、その値を用いてけい光X線分析の検量線を作成したところ、鉄、マンガン、銅、亜鉛について精度的に十分満足出来る結果を得た。この方法は簡便であり、標準として同一マトリックスのフィルターを用いるため、誤差も少いと考えられる。
本法を用いて、1980年6月より、筑波のエーロゾル中の数種の金属含量について経日的測定を行ったところ、セントヘレンズ山噴火の影響や黄砂の影響と思われる気象学的、地球化学的に興味ある現象が観測された。