日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
大動脈石灰化の地域差
伴野 祥一大島 茂羽鳥 幹子山本 節子佐藤 邦雄岡本 正司村田 和彦塩原 雄二郎伊藤 公雄茅 博
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1982 年 19 巻 6 号 p. 603-609

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抄録

X線写真でみられる大動脈弓部および腹部の石灰化出現頻度について, 東京を中心とする大都市生活者 (男子1,828例, 女子1,093例) と深谷, 本庄を中心とした地方都市およびその周辺在住者 (男子436例, 女子352例) を年代別に比較した. また, 地方都市例については, 農家例と非農家例の大動脈石灰化出現頻度の比較および, 血清総コレステロール, HDLコレステロールと石灰化像の有無について検討した. 石灰化像はルーチンの胸部背腹方向と, 腰椎側方向のX線写真にて判定した.
大動脈弓部におては男女とも地方都市例の方が石灰化出現頻度は高く, 50才代, 60才代ではその差は統計的に有意であった. 対象を耐糖能別, 血圧の程度別に比較しても, 同様に地方都市例に大動脈石灰化出現頻度は高い傾向にあった. 腹部大動脈については大都市例と地方都市例の間に有意の差はなかった. 地方都市例における農家例と非農家例の比較では, 弓部, 腹部とも両群間に差はみられなかった.
地方都市例について血清コレステロールおよびHDLコレステロール値と, 石灰化の有無について検討したが, 石灰化の有無による差は認められなかった.

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