抄録
高齢者白血病の臨床管理下における特殊性を明確にすることを目的とし, 高齢者定型的ANLLの初回, 再回寛解導入療法効果, 寛解到達日数, 寛解期間, 合併症, 直接死因, 生存期間を非高齢者ANLLと比較検討した. 対象症例は48例で, 60歳未満群35例, 60歳以上群13例, 全例NCMP 2段療法, NCMP+OK 432療法, AC療法, DC療法のいずれかで寛解導入のはかられたものである. その結果, まず初回寛解導入率は60歳末満35例中24例, 68.5%, 60歳以上群13例中7例, 53.8%で, 後者をさらに60~69歳群, 70歳以上群とにわけると各々7例中5例, 71-4%, 6例中2例, 33.3%, と70歳以上群に低率であった. また寛解到達日数は中央値で60歳未満群36.5日, 60歳以上群45日, 寛解期間並びに寛解例の生存期間は中央値で60歳未満群10.9カ月, 17.1カ月, 60歳以上群6.3カ月, 10.9カ月, 非寛解例をふくめた全生存期間の中央値は前者で12.6カ月, 後者で8.2カ月と60歳以上群で短い傾向にあった. また, 初回寛解導入中の合併症を比較すると, 肺炎合併が60歳未満群35例中5例, 14.2%, 60歳以上群13例中7例, 53.8%, 敗血症合併率も各々8.5%, 15.4%と後者に高く, さらに消化管出血が各々5.7%, 15.4%と60歳以上群で高率であったことが注目された. 尚, 再回導入効果は60歳未満群で20例中5例, 25.0%であったのに比し, 60歳以上群では再寛解症例は認められず再回導入の困難性が示された. 以上, 高齢者ANLLに対しては感染症, 消化管出血などに対する補助療法を徹底するなかで, 非高齢者ANLLと同様多剤併用療法が施行されるべきと考えられるが, 今後維持療法, 再回導入療法, 70歳以上の症例に対する一層の検討が必要と考えられた.