抄録
正常者 (54±3歳) 154例及び臨床症状, CTより診断した脳動脈硬化症 (68±9歳) 12例, 慢性期脳梗塞 (69±9歳) 20例これら脳血管障害が痴呆の原因と考えられる脳血管性痴呆 (71±8歳) 12例, アルツハイマー型痴呆 (74±7歳) 9例について, 平均血小板容積, 血小板数, 血小板停滞率を測定し正常者及び脳循環障害者のこれら血小板パラメーターの診断的意義を検討し, つぎの結果を得た.
1) 平均血小板容積は脳動脈硬化症では正常者に比し有意差を認めないが脳硬塞では有意に増加した.
2) 血小板数は正常者に比し脳動脈硬化症, 脳梗塞で有意に減少した.
3) 脳血管障害患者において平均血小板容積, 血小板数は有意の逆相関を示した.
4) 脳血管性痴呆ではアルツハイマー型痴呆に比し有意の平均血小板容積の増加と血小板数の減少を認めた.
5) 血小板停滞率は脳梗塞, 脳動脈硬化症, アルツハイマー型痴呆において有意差を認めなかった.
以上より平均血小板容積, 血小板数の変動は脳血管障害を反映している可能性が考えられ, これら血小板パラメーターの測定が脳血管障害患者においては梗塞発作を予知するうえで, 痴呆患者においては病因を鑑別するうえで有用な情報のひとつになり得ることを示唆しているものと思われた.