日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
福岡県下在住の百歳老人 (Centenarian) の研究 (第2報)
血液生化学および内分泌学的検討成績
牧 俊夫牟田 和男加藤 堅一井林 博
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1987 年 24 巻 4 号 p. 335-343

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抄録
福岡県下の100歳以上の超高齢者 (以下100歳老人と略す) 40名を直接訪問し, 健康診断を行い, うち22名 (男子3名, 女子19名) の血液生化学および内分泌学的検討を行った.
一般血液生化学検査では加齢に伴い100歳まで血清総蛋白, アルブミン/グロブリン比は男女子ともに漸減し, 尿素窒素は90歳代以降漸増を示した. 100歳老人におけるクレアチニン, 尿酸, GOT, ALPは70歳代に比べ有意の変動を欠くが, LDHは女子において有意の低下を示した.
血清脂質では, 100歳老人の総コレステロールは, 男子において70歳代に比較して有意の低下を示したが, トリグリセリド, 高比重リポ蛋白コレステロールは70歳代に比べ男女共に有意の加齢変化を認めなかった. アポリポ蛋白A-I, A-IIは血清総蛋白と同様に加齢とともに漸減を示した.
血中ホルモン検査では, LHは男子では80歳代, 女子で70歳代まで漸増し, 男子で70歳代以降100歳代まで有意の変化を示さなかったが, 女子では90歳代に比べ100歳老人で有意の増加を示した. 血中GHは男女子ともに70歳代以降100歳代まで有意の加齢変化を欠き, またPRL, TSHにも加齢による有意の変動を認めなかった. 血中コルチゾールは加齢による有意の変動を示さず, 一方副腎 androgen の dehydroepiandrosterone sulfate の血中濃度は男女子とも20歳代以降加齢とともに漸減し, 70歳代以降には有意の変動を示さなかった. 男子における血中17-ヒドロキシプロゲステロンおよびテストステロンは20歳代に比較して60歳代以降100歳代まで有意の低下を認めたが, 100歳老人では70歳代に比べ有意の加齢変化を欠く成績が注目された.
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