痛風と核酸代謝
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原著 1
24時間自由行動下血圧計(ABPM)を用いた降圧治療中の夜間降圧タイプ別の血清尿酸値の検討
宮崎 聡桑原 政成水田 栄之助太田原 顕浜田 紀宏荻野 和秀加藤 雅彦山本 一博久留 一郎
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2016 年 40 巻 1 号 p. 9-19

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抄録
背景:高血圧患者の約20%に高尿酸血症が合併しており,高血圧患者の高尿酸血症は心血管イベントの危険因子となる可能性がある.自由行動下血圧(ABPM)は高血圧の診断・治療に使用され,高い予後予測能力が示されている.またNon-Dipper型(ND)はDipper型(D)に比して心血管イベントが多い.これまで血清尿酸値と血圧日内変動タイプについての関連を示す研究は少なかった.
方法:外来通院中のABPMを行った高血圧患者(52例)の血清尿酸値,腎機能,尿中尿酸排泄を検討した.併存疾患・併用薬での除外は行わなかったが,血清尿酸値への影響が強い尿酸低下薬服用者を除外して同様の検討を行った.
結果:ND(19例)はD(33例)に比べ血清尿酸値は有意に高かった(6.3±1.1mg/dL vs. 5.4±1.0mg/dL, p=0. 018 ).腎機能と尿中尿酸排泄は両群間で有意差がなかった.またNDの高尿酸血症(UA>7.0mg/dL)患者の割合はDより有意に多い(42.1% vs. 6.1%, p<0.001 ).単変量解析では尿酸に対し有意な説明変数は体重,夜間収縮期血圧,収縮期血圧低下度,拡張期血圧低下度,血清クレアチニ ン及びCua/Ccrであった.多変量解析では収縮期血圧下降度,血清クレアチニンとCua/Ccrであった.尿酸低下薬非服用群での検討でも同様の結果であった.
結論:高血圧患者の血清尿酸値はNDのマーカーとなる可能性がある.
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© 2016 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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