プリン・ピリミジン代謝
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腎性機序に基づく低尿酸・高オキシプリン血症- ProbenecidおよびPyrazinamide負荷による検討
川知 雅典河野 典夫清川 裕朗山田 祐也桑島 正道清水 孝郎大野 昭西村 隆通山崎 知行依藤 史郎垂井 清一郎
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1990 年 13 巻 2 号 p. 107-112

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抄録
腎での尿酸排泄亢進に, オキシプリンの排泄低下を合併した低尿酸・高オキシプリン血症を見いだし,前回報告した.今回,本症例における尿酸(UA),キサンチン(X),ヒポキサンチン(Hx)の腎での転送機構を検討する目的で,probenecidおよびpyrazinamide負荷試験を行った.まず,probenecid 1.0g負荷に対し,CUA/Ccrは正常対照が前値の約4倍に増加したのに比して,本症例では無反応であったが, Cx/Ccr , CHx/Ccrは正常群以上に反応し,2時間後には正常群値にまで達した. また, pyrazinamide 3.0g 投与後,正常群では,CUA/Ccr,Cx/Ccrは明らかに減少し, CHx/Ccr はほとんど変化しなかったが,本症例では, CUA/Ccr , Cx/Ccr, CHx/Ccr はいずれも変化しなかった.以上,本症例は,probenecidに対して尿酸は無反応,オキシプリンは強く反応し,pyrazinamideに対しては尿酸,オキシプリンともに不応性を示した.この結果,本症例では尿酸のみならず,オキシプリンにも排泄機構に選択的な障害が存在し,オキシプリン排泄低下を惹起していることが示唆された.
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© 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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