プリン・ピリミジン代謝
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5-FU誘導体TegafurとUracilとの合剤UFTと5-FluorouracilのL1210細胞に対するヌクレオチドプールと細胞周期に及ぽす影響
大久保 俊樹堀 浩樹東川 正宗川崎 肇櫻井 實垣東 英史賀川 義之住田 克己大井 一弥谷口 清州浜崎 豊
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1990 年 13 巻 2 号 p. 113-119

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抄録
5-Fluorouracil(5-FU),5-FU誘導体tegafurとuracilとの合剤(UFT)の薬物動態と腫瘍細胞内核酸代謝への影響をinvivoで比較するため,L1210細胞1×10 6個をBDF1マウスに腹腔内移植し,3日後5-FU13mg/kg,5-FUと等モルのUFT〔tegafur(FT)として20mg/kg〕を1回経口投与し,L1210細胞のデオキシリボヌクレオチドプールと細胞周期の変化を検討した.細胞内dTTPプールは5-FU投与1-6時間後,コントロールの1/2に減少しその後回復を示したが,UFT投与では24時間後までコントロールの1/3-1/2に減少した.両薬剤投与後,細胞内dCTPプールは減少し,dATPプールは増加したが,ともにUFT投与のほうが変動が長時間持続した.また細胞周期のうえでは, 両薬剤投与によりG0-G1期細胞が39%から約20%に減少し,S期細胞が47%から約70%に増加したが,その変動のピークが5-FUでは薬剤投与12時間後であるのに対しUFTでは24時間後であり,これは細胞内ヌクレオチドの変化がUFTでより長時間持続することに呼応するものと考えられた.以上のことから,UFTの経口投与は等モルの5-FU経口投与に比較して, thymidylate sy nthetase の阻害作用がより強く長時間持続し,より強力な化学療法剤であると考えられた.
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© 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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