プリン・ピリミジン代謝
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白血病細胞におけるIMP脱水素酵素
山田 裕一後藤 治子小笠原 信明棗田 豊George WEBER
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1990 年 13 巻 2 号 p. 120-128

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抄録
急性骨髄性白血病(AML)患者の白血球中のイノシン(-5'-)-リン酸(IMP) 脱水素酵素,およびヒト培養Tリンパ芽球MOLT4Fより精製した酵素の酵素化学的性質と代謝阻害剤tiazofurinの細胞内活性体TAD(thiazole-4-carboxamide adenine dinucleotide)による阻害を比較検討した.Tiazofurinの効果がみられたAML患者の白血球中のIMP脱水素酵素活性(33.4±0.1nmol/h/mg protein)は正常白血球(3.1±0.5)に比べ約11倍に上昇していた.また培養細胞では赤血白血病由来のK562(47.6),Bリンパ性白血病由来のBALL1(61.0),Tリンパ性白血病由来のMOLT4F(45.7), いずれも高値を示した.AML患者の白血球中のIMP脱水素酵素のIMP,NADに対するKm値はそれぞれ,23,44μMで,キサントシン(-5'-)一リン酸(XMP)による阻害はIMPに競合的,NADHはIMP,NAD両者に混合型阻害を示した.TADの阻害はNADHと同じ形式をとったが, Ki値は0.10μMとNADH(150μM)に比べはるかに低く,高い親和性が認められた. MOLT4Fより精製した酵素はサブユニットの分子量が約6万,IMP,NADに対するKm値はそれぞれ,29,54μMで,XMP,NADH,TADによる阻害形式,およびKi値(XMP=85,NADH=94,TAD=0.08μM)もラット肝癌酵素やAML患者の白血球酵素と同様であった.これらの結果はtiazofurinがAMLのみならず,Tリンパ性白血病にも効力をもつことを示唆する.
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© 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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