痛風と核酸代謝
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新たに同定されたHPRT遺伝子変異とその表現型
山田 裕一野村 紀子鬼頭 浩史小笠原 信明
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1999 年 23 巻 2 号 p. 125-132

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抄録
ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)がほぼ完全欠損するとLesch-Nyhan症候群を発症し, 部分欠損では高尿酸血症から重症の痛風や腎不全を呈する. HPRT 欠損症における遺伝子解析を行ない, 表現型の異なる3家系で新たな遺伝子変異を発見した. 高尿酸血症のほか発語の遅れや小脳失調など軽い神経症状が見られる第1例では, 第6エクソンに単塩基置換によるミスセンス変異(L147P)が発見された. 精神運動発達の遅れ, 不随意運動が見られ, 精神発達の中等度遅滞があるが, 自傷行為を伴わない第2例では, 第7イントロンの5'末のgtがgc に変わる単塩基置換により, スプライシングに異常が起き, 正常のmRNAの発現が極端に減少し, わずかながら,2種類の異常mRNAが発現していた. 古典的なLesch-Nyhan症候群例と考えられる第3例では第8イントロンの5'末のgtが欠失しており, 第8エクソンをスキップした異常mRNA の発現が観察された.
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© 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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