抄録
正常妊娠における血清尿酸(SuA) の推移と尿酸代謝に影響を与える腎機能や内分泌について, 正常妊婦10名の妊娠及び分娩後を検討した. 妊娠初期にはSuAは3.16±0.18mg/dlと低値を示し分娩予定日に向けて上昇し, 分娩後はさらに上昇して5.16±0.19mg/dlとなった. 初期にSuAが低値を示す原因としてCuAとCcrの亢進が考えられた. 妊娠後期でSuAが上昇する理由としては,CuAとCcrが亢進せず, また胎児側での尿酸産生量の増加が示唆され, 増大する水分量の増加による希釈を上回ったものと考察した.