キサンチン尿症(キサンチンデヒドロゲナーゼ欠損症)は, 低尿酸血症・尿中尿酸排泄量の著明な低下・血清及び尿中のヒポキサンチン・キサンチン上昇を主徴とし, 時に尿路結石を認める常染色体劣性遺伝形式をとる遺伝疾患である. キサンチン尿症はキサンチンデヒドロゲナーゼ単独欠損であるタイプ1とアルデハイドオキシデースも欠損しているタイプ2とに分けられ, アロプリノール負荷試験により分類することが可能である. 今回健康診断にて, 低尿酸血症を指摘され, キサンチン尿症と診断された症例を経験した. 症例は67才, 女性であり, 既往歴に肺結核, 緑内障, 白内障, 大腸ポリープを認める. 今回健康診断にて, 血清尿酸が測定感度以下であったため, 精査目的にて外来受診となった. 外来にても血清尿酸O.5mg/dl以下と低尿酸血症を認める以外は, 特に臨床症状を認めず, 尿中尿酸が測定感度以下, J血清ヒポキサンチンとキサンチンがそれぞれ0.052mg/dlと0.19mg/dlであることより, キサンチン尿症と診断した. キサンチン尿症のタイプを明らかにするためアロプリノール負荷試験を行った. アロプリノール300mg内服にて, 3時間後に血清オキシプリノール4.7μ9/mlと健常人と同様な値を示したことより, キサンチンデヒドロゲナーゼ単独欠損症であるキサンチン尿症タイプ1と診断した. 遺伝子診断にて, キサンチンデヒドロゲナーゼ遺伝子の2567番目のCが欠損しており, そのためフレームシフトをきたし, 酵素活性を認めないことが判明した. この遺伝子異常のgenotypeはホモ接合体であり, 以前に我々が報告した異常と同じであったが, その症例と本症例の間に血縁関係は認められなかった.
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