2019 年 43 巻 2 号 p. 157-162
平成28年4月14日,16日熊本市は2度の大きな地震に襲われた.そのときの痛風・高尿酸血症患者の受療状況や生活・服薬状況の変化について患者アンケートを行い,災害がこれらの患者に与える影響を調査したので報告する.
本震後,約2週間に来院した痛風・高尿酸血症患者225名のうち,血液生化学検査が可能だった141名のデータを集計した.結果70%の患者が尿酸値6mg/dl以下を維持できていた.
そのうち無作為に抽出した70名に対しアンケート調査をおこなった.食事に関しては備蓄や店舗での購入により食糧自体は確保できていたが,支援物資や非常食にはパン・おにぎり・弁当等の炭水化物が非常に多く,その反面野菜・肉・魚などの生鮮食品の摂取が少なくなっていた様子が伺えた.
また食生活がインスタント食品や炭水化物に偏ることで,体重増加につながったケースが多々見られ(通称“震災太り”),炭水化物の過剰摂取による体重増加に注意を促す必要があると考えられた.また水分摂取量は約70%の人が変動なしと回答があり,断水状態にあったことや気温が高い日もあったことから水分摂取量の減少を自覚できていなかった可能性もあるため,水分摂取量の確認と意識付けが必要である.