2021 年 45 巻 1 号 p. 41-48
高尿酸血症は生活習慣病と合併することが多いため,栄養指導は生活習慣病における包括的な指導に含まれることが多い.そこで,本研究では脂質異常症患者に対する栄養指導が血清尿酸値に与える影響に関して後ろ向きに検討した.脂質異常症にて栄養指導を行った43名について,初回栄養指導から1年間,体重,脂質,血清尿酸値などを経時的に測定し,栄養指導前と比較検討した.観察期間中の栄養指導回数は平均2.5回であった.対象者全員の解析において体重は指導前と比し,指導後3カ月・12カ月で有意に減少した.血清LDLコレステロール値は指導前150.9±32.6mg/dl,指導後3カ月139.0±35.7mg/dl,指導後12カ月132.1±31.9mg/dlと有意に減少した.一方,血清尿酸値は,指導前5.4±1.4mg/dlから変化を認めなかったが,尿酸降下薬を内服していない高尿酸血症患者では,有意に血清尿酸値が低下した.観察期間中の体重増加群に比し,体重減少群では尿酸値が低下する傾向が見られた.
本研究において,脂質異常症患者に対する栄養指導の血清尿酸値低下への有用性が示唆された.また,体重減少を間接目標とした生活改善指導の尿酸値低下への有用性が示唆された.