2021 年 45 巻 2 号 p. 149-154
症例は25歳男性.右膝前面に疼痛と発赤を訴え来院.痛風関節炎が疑われたが,同部には骨性隆起を認め,小児期に患ったOsgood-Schlatter 病(以下OSD)の後遺症との鑑別が必要であった.関節エコー検査では右膝関節には滑膜肥厚と点状のhigh echo像(aggregate)を,左拇趾MTP関節にはdouble contour sign(DCS)を認めた.血液・尿生化学検査結果や臨床所見と合わせて痛風関節炎であると考えられた.病型は排泄低下型の高尿酸血症と診断され,ベンズブロマロンによる治療により血清尿酸値は改善し,痛風関節炎の再発も見られなかった.
OSDは小児のスポーツ障害の代表疾患であり,成長期を過ぎると軽快するが,剥離した骨片が膝蓋腱炎や滑液包炎などの慢性炎症の原因となることがある.OSDの既往がある痛風患者の関節エコーを行うときには,骨片などが認められることも念頭に検査を行う必要があると考えられた.