1977 年 23 巻 1 号 p. 60-66
本研究はラジノクロバー・サポニンの化学的特徴について,主に,そのサポニンの薄層クロマトグラフィー(TLC)における行動から捉え,これを基礎にしてデンシトメトリー(DM)による定量法を明らかにせんとしておこなわれた。150kgの新鮮なラジノクロバーから,95%エタノール抽出,抽出液の濃縮,エーテル洗滌ののち水層の遠沈処理によって粗サポニンを分離した。精製法を検討した結果,塩酸酸性にした水飽和ブタノールによる精製が灰分除去に効果的であることを認めた。結晶サポニンのTLCによって,サポニン中の不純物としての螢光物質の大部分が分離されること,サポニンが少なくとも二種のサポニンの混合物であること,また,ブタノール:エタノール:1N水酸化アンモニウム(60:13:30)の溶媒系がテーリングの少ないスポットを与えることを明らかにした。サポニンの定量は,上記の溶媒系を用いたTLCによって展開したサポニンを三塩化アンチモンによって発色させ,これをDMによって測定する方式で達成できた。その際記録紙に画かれるピークが左右対称でないので,面積測定のかわりに,ピーク部分を記録紙より切り抜いてその紙片重量を測った。その場合,展開させたサポニンの重量と紙片重量の対数値のあいだに直線関係を見出した。