1979 年 25 巻 3 号 p. 187-194
早生系イタリアンライグラスの2晶種(ワセユタカ・山系12号)を9月28日・10月18日・11月11日の3播種時期に,前作セタリアまたはグリーンパニック立毛内に中播きした。そこで,これら前作物の再生のちがいにより生じた異なる光・温度条件のもとで,イタリアンライグラスの中播き適期を検討した。高温・低照度条件下ほど,中播きイタリアンライグラスの定着・初期生育は悪化し,とくに,9月播きの前作グリーンパニック中播き区において著しかった。11月播きのセタリア再生株に生じた高節位分げつは,立毛内の光分布を変化させ,中播きイタリアンライグラスの定着・初期生育の悪化の一因となった。掃除刈り(11月11日)以後の中播きイタリアンライグラスの生育回復は,9月播きの前作セタリア中播き区において,とくに良好であった。前作暖地型牧草と中播きイタリアンライグラスの合計収量について,同一播種日で比較すると,対照区(裸地播き区)と大差なかった。しかし,前作物を20日早く刈取り,その立毛内にイタリアンライグラスを中播きした区は,対照区に比べて,乾物生産が均一化し,増収効果が認められた。以上の結果から,九州北部においては,9月下旬(日平均気温:22.7℃)に,2g/m^2以上のワセユタカを前作グリーンパニック立毛内に中播きし,播種20日めに掃除刈りし,立毛内の相対照度を20%以上に維持することが重要である。