日本草地学会誌
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オーチャードグラスの再生に及ぼす追肥量の影響 : I.再生に伴う生育状態の推移
渡辺 潔高橋 佳孝
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1979 年 25 巻 3 号 p. 195-202

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抄録

オーチャードグラスの2・3番草の再生の推移を,追肥量を変えて週1回の間隔でそれぞれ8週間追跡調査した。2番草ならびに3番草への追肥量は,多肥区ではN0.8,P_2O_5 0.4,K_2O 0.7kg/a,中,少肥区では各成分ともそれぞれ多肥区の1/2,1/4とした。再生初期では,多肥になるほど草丈,LAI及び茎数は急速に増加したが,透光率と刈株TNC含有率の低下が著しく,再生後期では,多肥になるほど刈株TNC含有率の回復が遅れ,茎数が減少し,枯葉が多発して6週以降ではLAIと生体部の収量が急減し,草丈の伸長も抑制された。したがって,8週後では生体部収量とLAIは多肥区でも中肥区とほとんど変らず,茎数は中肥区より多肥区でむしろ少なくなった。既報で刈取適期と想定した平均生産力(生体部収量/再生期間)の最大期までの再生期間は,2・3番草の多,中,少肥区で,それぞれ4.4・4.5,4・5・4.8,3.5・3.9週で,その時期の平均生産力は,それぞれ9.0・7.8,6.4・5.3,4.6・3.8g/m^2/日となった。また,その時期の生育状態は,多肥区では既報の刈取適期の指標(草丈74cm,LAI7.4,透光率1%)に近似したが,中,少肥区では生育量が小さく,既報の指標には適合しないことが認められた。上述の結果から,刈取時期が適正であれば多肥の増収効果は大きいことが明らかになった。

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© 1979 著者
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