日本草地学会誌
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オーチャードグラスの再生に及ぼす追肥量の影響 : II.再生過程の生長解析
渡辺 潔高橋 佳孝
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1979 年 25 巻 3 号 p. 203-209

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抄録

前報で求めたオーチャードグラスの2・3番草の生育・収量の推移を表わす3次回帰方程式を使用して,生長解析を行った。多肥になるほど,草丈は高くなるがLAIの増大はより急速であり,同じLAIの間で比較すれば透光率は低くなるがNARは総じて高く,最適LARと最大LAIは増大し,LAIのより広い範囲にわたってCGRが高く保たれ,CGRの最大値は大きく,乾物生産量は大巾に増大した。しかし,再生末期には多肥になるほど刈取部や地上部を対象にして算出したNARは顕著に低下し,LAIや全植物体重の減少も著しくなった。各追肥区ともLARはLAIに比例して近似の水準で増大し,SLAは再生が進むにしたがって近似の水準で低下した。なお,生長解析の結果は,生体部だけの場合と枯死部も含めた場合で大差なく,地上部と全植物体では近似しているが,刈取部と全植物体ではとくにNARの推移にかなりの差異が認められた。以上の結果から,オーチャードグラスの2・3番草の多肥による乾物生産量の増大は,主にLAIが急速に増大することと透光率の低下が著しい割にはNARが低下しにくいことに起因し,またその生長解析には,枯死部や根の調査を省略してもそれらを含めた場合と近似した結果が得られるが,刈株の調査は省略不可能といえよう。

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© 1979 著者
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