日本草地学会誌
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イネ科草類の温度反応に関する研究 : I.亜熱帯イネ科草類の生産力および耐寒性の比較
川鍋 祐夫Cedric A. NEAL-SMITH
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1979 年 25 巻 3 号 p. 210-215

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抄録

生産力が高く,耐寒性が強く,低温下で旺盛な生育をする亜熱帯性イネ科の草種および品種を見出すことを目的として,生育特性,季節生産性,耐寒性を比較した。供試牧草はダリスグラス,Chloris(ローズグラス)の10品種,Setaria(ゴールデンチモシー)の5品種,Panicum maximum(グリーンパニック),P. coloratum(パニカム・コロラータム),Cenchrus(パッフェルグラス)の2品種,Sorghum almum(ソルガム・アルマム,コロンブスグラス),およびDigitaria argyrograpta(デジタリア・アルギルグラプタ)の計22種である。ChlorisとSetariaは原産地の標高の異なる品種を含んでいる。ほ場試験は冬が温暖な場所と,冬が低温な場所の2か所で行われた。結果は次のようである。生産力の高い牧草は,試験地により異なるがChlorisのある品種,Sorghum及びSetariaのN810である。低温の冬を越せた牧草は,ダリスグラス,Digitariaの2種で,温暖な冬を越せたのは上のほかChlorisのNzoiaとPioneer Sorghum,P. Coloratum,N810を除くSetariaの多くの品種である。ChlorisやSetariaの新しい系統を,熱帯の高地に探索することにより,わが国暖地の夏により適する牧草を開発しうる可能性が高いと指摘された。

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© 1979 著者
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