日本草地学会誌
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イネ科草類の温度反応に関する研究 : II.原産地の標高を異にするローズグラス五品種の比較
川鍋 祐夫Cedric A. NEAL-SMITH
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1979 年 25 巻 3 号 p. 216-221

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抄録

東アフリカの1,170mから2,270mまで異なる標高の地域に起源をもつローズグラスの四品種と,南アフリカに原産した市販種とを,15/10から36/31℃まで五段階の昼/夜温で三週間処理して生育量を調査し,RGR,NAR,LWRを求め,品種間比較を行った。各品種はほぼ同じような温度生育関係を示し次のように結論された。生育の最低温度は15/10℃とみられ,これより27/22℃ぐらいまで温度が高まれば高まるほど旺盛な生育をする。生育適温は27/22℃またはこれより高い所にあり,36/31℃では乾物生産量は最大であったが,ほふく茎の発生などには高過ぎる温度である。高標高地起源のNzoiaおよびMassaba,ならびにPioneerは,低標高地起源のSerereおよびMpwapwaより15/10℃の低温における生育が優れ,NAR,出葉数などが大であり低温適応性を有するものと認められた。この結果から原産地の気象条件と品種の温度反応との間には,密接な関係があると指摘された。

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© 1979 著者
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