日本草地学会誌
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粗飼料の可消化有機物含量の推定および栄養価変化の解析における酵素分析の応用
阿部 亮名久 井忠
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1979 年 25 巻 3 号 p. 231-240

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抄録

アミラーぜ,プロナーゼおよびセルラーゼの連続処理からなる酵素分析を乾草,稲わらおよびトウモロコシサイレージに適用した.試料の有機物はアミラーゼ,プロナーゼでの連続処理により,可溶のOCC分画と不溶のOCW分画とに分けられ,更にOCWはセルラーゼの加水分解によって,可溶のOa分画と不溶のOb分画とに分けられた.すべての飼料群において,OCC+Oaの分画では,その含量と可消化量との間に,高度に有意な相関が得られ,又,b分画についても,イネ科乾草グループ(イネ科主体混ぱん草および稲わらおも含む)およびトウモロコシサイレージでは,同様の傾向が示された.酵素分析のシステムにおいては,可消化有機物含量は,可消化のOCC+Oaと可消化のObとの和で示される.従がって,イネ科乾草グループおよびトウモロコシサイレージでは,含量と可消化量の間に成立する回帰式を利用することにより,可消化有機物含量の推定が可能である事が判った.更に,本実験では,生育時期を違えてメリ取ったオーチャードグラスとアルファルファに対しても酵素分析を施こし,生育の進展にともなう各分画の含量の変化を追跡した.その結果,生育にともなってOCCは減少し,OCWは増加する.また,OCW中では,in vivoの消化試験において高消化率を示すOa分画が生育にともなって減少した.

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© 1979 著者
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