日本草地学会誌
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イタリアンライグラスの採種栽培に関する研究 : II.途中刈りが採種量および採種関連形質に及ぼす影響
門馬 栄秀
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1980 年 26 巻 3 号 p. 273-279

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抄録

供試品種は早・晩生2品種ずつで,途中刈時期は年内刈り(12/8),越冬後刈り(3/1),節間伸長開始前刈り(3/19,伸長前刈りと略す)および節間伸長開始後刈り(4/9,伸長後刈りと略す)の4時期である。すべての品種において,草丈と茎葉重は途中刈りによって滅少し,出穂・開花は伸長後刈りによって著しく遅れ,倒伏は伸長前・後刈りによって発生がおそくなった。早生品種は年内刈り,越冬後刈りでは一穂粒重は減少したが,穂数がかなり増加したため,採種量は年内刈りで増加,越冬後刈りで非常にわずかな減少を示した。伸長前刈りでは穂数,一穂粒重がともに減少したため採種量は著しく減少したが,伸長後刈りでは両形質とも増加傾向になり,採種量は若干回復した。ヤマアオバ(晩生)は年内刈りによって一穂粒重は減少したが,穂数が増加したため,採種量は無刈取りと殆ど同じであった。しかし,その後の刈取りでは両形質が低下したため採種量は漸減した。ナスヒカリ(晩生)の採種量は,無刈取りと刈取処理との間および刈取時期の間で殆ど差異がなく,明らかに他の品種と異なる様相を示した。本試験の結果より,早生品種の場合,年内から越冬後あまり日数を経ないうちの刈取りでは,増収するか減収してもわずかであり,越冬後刈りでは多少ではあるが倒伏を抑制し,青刈飼料を得ることができ,収穫時に余分な茎葉を少なくし,有効と判断される。ヤマアオバは途中刈りによる効果はあまり期待されないが,ナスヒカリは途中刈りによる採種量の減収が非常に小さく,青刈飼料も期待できることから,青刈,採種兼用に適した品種であると言える。

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© 1980 著者
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