抄録
土壌の理化学性を変えた耕地に,シバ型草地から採集した牛糞を表面散布して,糞中シバ種子の発芽・定着・生存数の推移を調査した。1)鎮圧処理を行って土壌硬度を変えた結果,シバの発芽・定着数は・土壌硬度の低い区が高かった。しかし,シバ幼植物の生長は,土壌硬度に影響されなかった。また,定着後の生存率も土壌硬度の影響を受けなかった。2)土壌改良資材と肥料の施用は,シバの発芽・定着・生存数に影響を及ぼさなかったが,1年性イネ科植物の生長を促進して,シバ幼植物の生長を抑圧した。3)冬期間中のシバの枯死率は,被覆量の多い区ほど低かった。しかし,被覆量の多い区のシバは,個体当たり直立茎数が少なかった。以上の結果から,耕地におけるシバ型草地の造成には,土壌改良資材や肥料を施用する必要がないと結論した。