1979年5月22日のランドサットMSSデータを用いて,栃木県北部の土地利用現況について最尤決定法による教師付分類を行なった。その結果,MSSのスペクトルパターンの違いにより14のクラスタークラスを分類することができた。更に最終的に統合して得られた9つの土地利用グループの判別効率は94.0%であった。このうち'林地'-'草地','市街地'-'裸地'の各グループ間で誤判読が認められた。このほか,'草地'-'ゴルフ場','裸地'-'耕地','水田'-'裸地','市街地'-'水域'のグループ間の混乱が多少あった。耕地や水田に関する誤判読は,ランドサットデータ取得日が5月22日で,作物生育初期であることに起因すると考えられた。次に栃木県北部に所在する大田原市,那須郡西那須野町,塩谷郡喜連川町について,ランドサットデータによる土地利用分類結果と,固定資産税概要調書から得た地目とを対比させた。その結果,ランドサットによる'林地'は,登録された地目の森林より過小に,'草地'と'耕地'はランドサットからの結果が過大に表れた。この違いの原因として,ランドサットデータ解析時の誤判読のほかに,登録された地目と実際の土地利用現況のズレによる部分も大きいと考えられ,適切な補正が行われれば,かなり高い精度で判別が可能であると推定した。