日本草地学会誌
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水酸化ナトリウム処理稲わらサイレージの摂取量および消化率に及ぼす尿素添加の影響
高橋 正行
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1985 年 31 巻 1 号 p. 130-136

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抄録

水酸化ナトリウム(NaOH)処理稲わらサイレージにおいて,NaOH処理の効果を十分に発揮させるための,窒素源としての尿素添加の意義およびその適切な添加水準について検討するため,試験1では,NaOH無処理およびNaOH6%処理稲わらサイレージに,それぞれその乾物の0および2%の尿素を添加した4種の飼料について,また試験2では,NaOH処理稲わらサイレージに,その乾物の0,1,2および2.5%の尿素を添加した4種の飼料について,それぞれ山羊4頭を用いる4×4ラテン方格法により消化試験を行ない,同時に窒素出納を調べた。試験1では,NaOH無処理稲わらサイレージの尿素0および2%添加区,ならびにNaOH6%処理稲わらサイレージの尿素0および2%添加区の乾物消化率は,それぞれ37.0,37.7,53.0および59.0%,乾物中TDNは,それぞれ34.7,36.4,46.6および52.6%,乾物摂取量は,体重に対しそれぞれ1.15,1.15,0.86および1.26%,蓄積窒素量は,それぞれ-0.9,-0.8,-2.0および0.4g/日であった。また試験2では,NaOH6%処理稲わらサイレージの尿素0,1,2および2.5%添加区の乾物消化率は,それぞれ43.4,55.1,56.2および58.7%,乾物中TDNは,それぞれ38.6,48.4,51.9および53.8%,乾物摂取量は,体重に対しそれぞれ0.95,1.26,1.26および1.52%,蓄積窒素量は,それぞれ-2.0,-0.4,0.2および0.6g/日であった。これらの結果は,NaOH処理は結果的に稲わらのエネルギー消化率を向上させるが,窒素はその際の制限因子となること,すなわちNaOH処理稲わらの微生物による消化速度および結果として摂取量を高めるためには,適当量の窒素の供給が必要であることを示すものと考えられる。

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© 1985 著者
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